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「やぁ、久しぶり」
仕事で徹夜明けのぼーっとする頭にうるさく鳴り響くチャイムを止めようと確認もせずにドアを開いた。
そこにはつい先日結婚したばかりの友人の姿。
「…何の用だ?」
いきなりの訪問に不機嫌さを隠し切れずに半眼で見つめる先には、反対に爽やかに微笑むアウラーがいて。
とにかく迎えようと身体を開けば、ここでいいよとやんわり拒まれた。
「これから行くとこあってさ」
で、ちょっとお願いがあるんだけど。
その視線が動いた先は、彼の足元。
正確には彼の右手の先、繋いだ手の主。
極端に視野の狭まっていた自分は気付かなかったが、アウラーには連れがいた。
それもものすごく幼い連れが。
結婚した彼の子供かとも思ったが、それにしては大きいだろうと思いまじまじ見ればやはりまったく似ていない。
赤い髪。
赤い目。
かなり目つきが悪いであろう自分の視線に怖気づくことなく見つめ返してくる瞳は、零れ落ちそうなほど大きかった。
「この子預かってくれる?」
半ば押し付けられたその子供の名前はファインというらしい。
それだけ聞くと寝不足の自分は寝室に戻った。
徹夜明けで正常な判断が出来なかったこのときの自分を心底恨む。
まぁ、睡眠を欲していたのは確かなのだが。
とにかく自分は眠りについた。
邪魔するな、の一言を残して。
「…確かに邪魔はされてないが」
これはあまりにひどいだろう。
起き上がってとりあえず顔を洗おうと洗面所に向かえば、洗面台の引き出しはすべて開けられ中身がすべてぶちまけられていた。
未使用のタオルも最近仕事にかかりっきりで溜まっていた洗濯物もすべてごちゃ混ぜ。
怒りもあらわに洗顔だけ済ますと、足音も気にせずどすどすとリビングに向かった。
「…っ!!」
いたずらの主犯の名を叫ぼうと扉を開いて唖然とする。
多少の覚悟はしていたが…それ以上にひどかった。
洗面所以上にひどく散らかったリビングはまさに足の踏み場もない。
自分の家にこれ程物があったのかというくらいにとにかくすべてが引きずり出されていた。
もしかしたら原形をとどめている物の方が少ないかもしれない。
なんとなくいやな予感を覚えつつキッチンに足を向ければ、案の定。
冷蔵庫は開いたまま。
中身はほとんどないに等しい。
野菜はご丁寧にも細かくちぎってばら撒いてあるし、半分程残っていたはずの牛乳パックにはなぜか作り置きの麦茶が入っていてかなり微妙な色を作っている。
「……」
ふつふつとわいてくる怒りが抑えられない。
小さな子供だと思っていたがそれでも限度はあるだろう。
たかが2歳の子供でも、やっていいことと悪いことがある。
片付けはあとにして怒鳴ってやらないと気がすまない。
「このやろ………」
戻ったリビングの奥、ソファの影にファインはいた。
どこから引きずり出してきたのかそのちいさな身体に不釣合いなほど大きな毛布に包まって。
…その姿を見てなにも言えなくなった。
ぎゅっと握り締められた手は白くて小さくて。
寄せられた眉は切なげで。
なにより、目元が真っ赤に腫れて濡れている。
頬には幾すじもの涙の跡。
「れぃ、ん…」
微かにむにゅむにゅと呟かれた声はひどく寂しげで。
長い時間こんなにちいさな子供を放っていたことに、自分はなんてことをしたんだと思いっきり罵った。
「悪かった」
毛布ごと抱きしめてさっきまで自分が寝ていたベッドに運ぶ。
部屋の片付けはまた後ですればいい。
今はこの子が起きたら笑ってくれるように、どうやって甘やかそうかだけを考えた。
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やっちまったい、ちびふたご。
年の差萌でっす☆(趣味に走りすぎ)
とりあえず出会っちゃったこの4人。
気が向いたときに短編形式でちまちま進めていくと思われます。
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