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当然のように差し出される手。
当然のようにそれに絡められた指。
それはあまりにも自然で。
ワルツ―軽快に3拍子の音楽に合わせて踊る円舞曲。
それなりの知識はある。
運動神経は良いほうだと自負しているし、リズム感だって悪くない。
プリンセスという立場上パーティーに呼ばれることは度々あるから、教育の中に組み込まれていたようにも思う。
だが。
「まぁ…足踏まれなかっただけマシか」
目の前で思いっきり呆れ顔をしたシェイドを見て、ファインは視線を彷徨わせた。
さっきまで一緒に踊っていた彼は無造作に髪をかきあげて大きくため息をつく。
なんとも申し訳ない。
一緒に踊ろうと誘われて喜んでそれを受けたものの、結果は散々だった。
まず最初に出す足を間違えたことが悲劇の始まり。
危うく踏みそうになった彼の足をよけておかしな体勢になったところを絡めた腕に支えてもらったものの、勢いは止まらなくて反射的に出した足も間違っていた。
焦って直そうとするもそのたびに自分の足は間違ったステップを踏んでしまって、それが更に焦りを煽る。
最後は半ばパニック状態で、シェイドのリードと運動神経でもって抱えられていたようなものだ。
ひたすら謝って赤面するしかない。
「ごめん…」
俯いて小さくつぶやけば、しょうがないなとでも言うように頭にぽんと手が置かれた。
少し安堵して視線を上げると苦笑した目とぶつかる。
結局優しいのだ、彼は。
不器用で、ぶっきらぼうで、言葉少ないシェイドだけれど、その行動の端々に見え隠れする優しさが嬉しくて。
つられて自分も笑ってしまう。
暖かい手は離れてしまったけど、そのぬくもりはまだ残っている様な気がしてそっとそこに触れる。
そして唐突に思い出した。
そういえばダンスの授業は堅苦しく踊るのが嫌で全部逃げていた、かも。
おかげで散々だったと昔の自分を罵っても今が変わるわけではないのだ。
これからはまじめに教えてもらおうと決心した。
何曲か踊り終えて喉を潤すのは、この国でもなかなか飲めるものではない極上のシャンパン。
仄かな酸味と軽い口当たり、舌の上で弾ける炭酸はそれでいてどこまでも上品だ。
ウェイターに頼んでわざわざ持ってこさせたのは正解だった。
目の前に居る彼女も同様に思ってくれたようで、渡したグラスを傾けて笑顔を見せてくれる。
それと同時に微かに周囲がざわめいた。
無理もない、彼女はこの国を、全ての国の光を守った英雄なのだから。
「プリンセス・レイン」
「はい?」
呼びかければ微笑とともに返される。
自分がこの場で、どういう立場でありどういう振る舞いをするべきかすべてわかっている、そういう仕草だ。
今まで「最もプリンセスらしくない」、そう言われていたのがまるで嘘のようで。
まるで彼女とは正反対。
「いえ、そろそろ疲れたのではと思いまして」
「ありがとう…そうですね、風に当たりに行きませんか?」
「…では、お手を」
空いた手でもって彼女をエスコートすれば、周りから感嘆のため息が漏れる。
それに臆するでもなく歩き出した。
周囲からの視線に晒されるのは生まれによる宿命であり、すでに慣れたことである。
バルコニーに出る直前、視界の端に捉えたものは、正反対に最もプリンセスらしくないプリンセスの片割れだった。
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短いですね…でもなんかキリが良いんでやめてみました。
えと、ちょっと補足すると、あの最終回のお祝いパーティーの場面だと思ってください。
随分アニメと違いますが。
そこはご容赦願いた、く…
そもそもあとがき(?)で補足することが間違(殴)
が、頑張ります…
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