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泣けばいい。
今みたいにただ泣くんじゃなくて、ワガママ言って泣き叫んでみせればいい。
「どうして?」
答えをわかっていて聞くのは、彼女の優しさなのか。
「現に君は戻ってきたよ」
ファインが泣いて訴えればあの優しく甘いトゥルース王のこと、すぐにレインを呼び戻すだろう。
そしてそのファインの姿は再度我儘でプリンセスらしくないプリンセスのレッテルを貼られ、頭の固い老議員連中にはファインが残り国を治めていくことに反対する者が出てくるだろうことは想像するにたやすい。
まさか、ここまですんなりと事が運ぶとは思っていなかったが。
「すべて、彼女の望み通りだ」
レインとシェイドの婚約は破棄。
ファインの望み通りレインは戻ってきたし、シェイドとの繋がりもなくなった。
3人の関係が、元に戻った。
「それから、君の望んだ通り」
ファインもだが、レインの望むところはもっとわかりやすい。
なにが一番か、はっきりしているから。
ファインが幸せになること、それが今の彼女の望みのはず。
今それが叶った。
なのにちっとも嬉しそうではないのはなぜだろう。
「確かに私はあの子が幸せになるならなんでもするし、今回のコトはこれで良かったんじゃないかって思う」
たとえ自分が思い描いた過程とは違っても、結果的にはほぼ同じような結末には辿り着いた。
予測と希望と、その通りに事が進むなんて甘い考えはなくても得られた結果が同じならばそれでいい。
「だけど私は…」
「まだなにか?」
欲張りだねとブライトが笑う。
反対にレインは笑いもせず、むしろ切なげに眉を寄せて言葉を続けた。
「あなたにも、幸せになってほしかった」
「…それこそ欲張りだよ」
わかってると頷くレインに、ブライトが哂った。
ファインの幸せを願うのに同時にブライトの望みを叶えようなんて矛盾にも程がある。
レインが自分に好意を持っていることは知っていたけれど、そんなに都合よくなにもかもほしがるなんて馬鹿げてる。
「じゃあ君がファインの代わりに僕のそばにいてくれるとでも?」
「…あなたがそれを望むなら」
「そんな自己犠牲精神は真っ平ごめんだね」
失恋したことが悲しいんじゃない。
シェイドにファインを奪われた事が辛いんじゃない。
それを憐れに思われるのが、このプライドが許さない。
悲しい事も辛いこともある程度は仕方ない事だと思う。
乗り越えなければならないこともわかってる。
ファインに幸をと願う自分も確かにいるのだけれど、素直にそう言えるにはまだ時間がかかって。
「…僕に君はいらない」
一人にしてほしい。
同じ顔で、似た声で、横にいられるのは余計に辛いから。
「そばにいるのもダメですか…?」
好意を持ってくれていることはとても嬉しいけれど、今の自分はそれに応えることは出来ない。
そんな状態でいてもきっとお互い辛いだけだ。
だから。
「君をファインの妹じゃなくて、ちゃんと君だと思えるようになるまで待ってほしい」
恋愛の好きになるかはまだわからないけれど。
とにかく今のまま傍にいることは出来ない。
いつかきっと、彼女達の前で笑えるようになる日が来ることを願う。
「…わかり、ました」
それ以上ブライトを見ることすら出来なくてレインは俯く。
でもこれでもう当分会うこともなくなるなら、最後に見てもらうのは笑った顔がいい。
そう思って無理やり作った笑顔は、自分でも会心の出来だった。
「遅くにすみませんでした、おやすみなさい」
「あぁ、おやすみ…良い夢を」
後ろ手にドアを閉めて暗い廊下を駆け出した。
こんな夜更けだ、見とがめる者は誰もいない。
足音は柔らかいカーペットが吸い取ってくれる。
「………」
辿り着いた自室では、さっきと同じようにファインが眠っている。
目元はまだ赤くて腫れているけれど、その表情は穏やかで。
「ファイン…」
小さく呟いても起きることはない。
彼女の寝付きのよさは誰よりも自分が知っている。
シーツにくるまれたその横に潜り込んでもきっと起きないだろう。
それでもなるべく注意を払ってシーツを捲る。
暖かいそこはすぐに馴染んで、寝たままでも人の気配はわかるのかすぐにファインの腕が伸びてレインを引き寄せた。
逆らうことなく身を寄せて。
それから、少しだけ泣いた。
明日はちゃんと笑えるように。
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あとがきとか言い訳とか解説とかをちょっと…見てやろうじゃないかな方は↓からどうぞ。
あとがき…とか。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます(ぺこり)。
この話は紹介文(?)にもあるように無印終了後の管理人による勝手な補完です。
いつだったかBlogにも書いたのですが。
なんだかんだいってあまり無印時代のアニメが見れなかった自分が見た最終回のブライトのレインに手を差し伸べたときのあの笑顔がなんだか許せなくて、「いきなり心変わりしやがってなんなんだコノヤロウ」と思うままに書きなぐり始めたのがこの『君思フ』です。
とにかく書きたかったのは
ブライトはどうして心変わりしたのか
…だったのですが、書いてみたらなんだかそこら辺はさらっと終わってしまった感が…。
そんでもってレイン嬢が思いっきり報われてない感じ…。
更に中途半端感が否めない…(自分でもわかってます…!)。
しかも宝青プッシュサイトにあるまじきかな、ブライトがレインを振って終ってる…。
や、とにかくブライトが気持ちに一区切りをつけたので自分的にはそれなりに満足なんですが。
文才がなくて書きたいことがちゃんと伝わったか?というのはかなり疑問です(むしろ不安だからこんな言い訳ページがある)。
一応この続きでブライトのベクトルがレインに向くまでの話を考えていたりします。
はじめはそれも含めて『君思フ』にしようとも思っていたのですが、そこまでダラダラと続けるのがイヤで。
この話の延長線上にあるのがイヤで(続きなんだから当たり前なんだけど)。
とりあえずここで終らせる形を取りました。
続きはまた書けるようになったら書きたいなーと思ってます。
勢いのままに書きなぐったのでやっぱり行き当たりばったりが多くてどうしても読みづらかったりはあると思いますが、これからは精進していきたいなと。
たまにこんなサイトあったなーと思い出して覗いてやっていただければと思います。
本当にありがとうございました。
06.07.15 鼎拝
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