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いつも一緒。
ずっと一緒。
それをあたりまえだと思ってた。
2人で足音を忍ばせてこっそり歩くのは、城の裏庭に続く暗い廊下。
人の気配はなくて、裏庭に用事があるのは週に1回の割合で手入れに赴く庭師だけだからそんなに用心する必要はないのだけれど、初めてここを通る2人がそんなことを知るはずもなく、そわそわと落ち着かない様子で精一杯足音を殺して進んで行く。
「誰もいない?」
「…大丈夫!」
そっと囁きかわすと、どちらからともなく繋いだ手にきゅっと力が入る。
いつも一緒で、隣にいる自分じゃないぬくもり。
この暖かさがあるから、どんなことだって怖くない。
家庭教師が来る前に部屋を抜け出して初めての場所に冒険することも。
帰ってから見ることになるだろう怒ったキャメロットの顔も。
顔を見合わせて、頷きあう。
そして一気に駆け出した。
「っ……わぁっ!!」
開けた目の前の光に手を翳しやっと慣れた目に恐る恐る瞼を持ち上げれば、広がるのは一面の緑。
萌える若草が青々とした葉を揺らし、色とりどりの花が彩りを添えている。
城の中庭より広くて、バルコニーより明るくて、母の胸よりもなお暖かい。
そんな、柔らかな、光の降り注ぐ場所。
「すごい…っ!」
先に動いたのはレインだった。
一目散に駆け出して、緑の絨毯を踏み締める。
あちこちに咲き誇る花に目移りしながら、そっと手を伸ばして夢中で1本づつ手折っていった。
その様子を見て、動けなくなる。
置いていかれた。
手が、離れた。
レインのぬくもりを風がさらって冷やしていく。
そんな錯覚。
立ちすくんだまま動けなくて、ただレインを見つめた。
「ファイーン?」
振り返ったレインに不思議そうに呼び掛けられて、やっと足が動いた。
わけの分からないもやもやは残ってるけど、笑う。
それにレインも微笑んで、何かの作業に戻ってしまった。
仕方なくあたりを見回せばひらひらと舞う蝶を見つけて、今度こそ足を思いっきり動かして追いかけた。
散々走り回って切らした息を落ち着けようと、草の上に直に寝転んでいた。
青臭い匂いが鼻をかすめる。
視界に入ってくる葉が揺れて頬を撫でた。
「ファイン!」
なぜか嬉しそうなレインの顔が覗き込んできて、眩しかった陽の光が遮られた。
差し出された手を掴んで起き上がらせてもらうと嬉々として隣に座った。
「どうしたの?」
返されるのは笑みを浮べた顔ばかり。
訝しげに眉を寄せれば、ふぁさっと微かな音をたてて頭に何かがのせられた。
「…え?」
そっと手をやれば柔らかい感触と、少しだけ濡れたようなそれ。
落とさないように視線だけ向けてもなにも見えなくて、少しだけ不安になった。
レインはと見れば、やはり笑顔のままで。
「いい香りでしょ?」
「…ほぇ?」
言われてみれば、微かに花の匂いがするかもしれない。
そしてやっと、花輪をのせられたのだと理解した。
「…ありがと」
ちょっと照れくさくて俯きながら言うと、レインが笑ったのが気配でわかる。
たったそれだけなのにすごく嬉しくて、気がついたら自分も笑いかけていた。
いつだって、どんなときだって、ずっと繋いでいた手だけれど。
離すことも悪くない、なんて。
そんなことを初めて思った。
* * *
ありがちネタですが。
ちっちゃい頃のふたごは、歩くときはもちろん寝るときもいつでもどんなときでもずっとずっと手を繋ぎっぱだったと信じてます(ありえないから)。
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