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雑踏の中で、確かの聞こえた彼女の声。
姿は見えない、いることさえ気付かなかったのに。
たったそれだけ。
その声だけで、ふわりと心が弾んだ。
声
* * *
目が覚めたら、青だった。
うたた寝をしていたらしい、ソファで、しかも上を向いて大口を空けて。
突然ぱちりと目が覚めて、目の前の青、あお、蒼。
至近距離で覗き込んでくる瞳も、それを縁取るまつげも、視界いっぱいに広がる髪も、ぜんぶあお。
上から覗き込まれているせいで、彼女の髪でカーテンのように区切られて、周りがまったく見えない。
「おはよう」
あぁ、このままこの世界に埋もれていたい。
愛ある世界
* * *
「あつい」
「じゃぁ離れる?」
「うん」
言ったくせにまったく動く気配がない。
抱きつかれた腕も、抱きついている彼女も汗まみれなのに。
熱帯夜
* * *
「人工呼吸は、キスのうちに入りますか?」
「…どうしたの、突然」
「いいから答えてください」
「うーん…入る、かな?」
「じゃぁもしそんな状況になったら、その人は見殺しにしてください」
その表情があまりにも真剣でおかしくて、つい噴出したら怒られた。
キス
* * *
「離しません…っ!」
前から抱きつかれて、自分の背中辺りを彼女の手がぎゅぅっと力いっぱい握っている。
見上げてくる瞳がなぜか必死で。
こんな拘束、いとも簡単にはがせるのに。
…逃げられないよなぁ。
拘束
* * *
余裕がない、見栄も張れない、ただただ焦る。
なのに、愛しい。
恋情
* * *
離すものか、絶対に。
強制
* * *
組み敷いた白い肌に、幾つも赤い華が散っている。
額に張り付いた髪をするりと掻きあげてやると、荒くなった呼吸のままけれどうっすらと開いた瞳からすぅっと一筋の涙が流れた。
「ツライ?」
「だい、じょぶ…」
明らかに無理をしている声。
けれど、それだけではないのも確かで。
蒼い瞳が潤んでいるのは、決して痛みだけのせいではない。
宥めるように顔中にキスの雨を降らせる。
涙が消えるまで。
濡れた睫が乾くまで。
「…ァ、……っ」
逆に濡れたのは、声とどこだろう。
いつもはめまぐるしく動くきらきらと輝く瞳が、うっとりと霞がかっていくその様子を見るのがたまらない。
従順に、愛らしく、求めてくるさまが。
だから。
求められるままに、好きなだけ、与える。
征服欲
* * *
「…こんなのが好きだなんて、知りませんでした」
俯きがちに、でも気になるのかちらちらと視線がよこされる。
頬は羞恥のせいか真っ赤。
握り締めた手に力が入りすぎて、持っていたスカートの裾が大きくシワを作っていた。
「じゃぁ、これからもっと知って?」
プレイ
* * *
つまんだらふに、と音が出そうな自分の二の腕。
彼のココは違うのだということを、ついこの前知った。
「……っ」
知ったときのことを思い出して、枕に突っ伏した。
腕
* * *
剣の稽古中の彼に気づかれないように、こっそりそれを見るのが大好きだ。
稽古中に感じる視線が、自分だけを見つめているのを知っているからやめられない。
例えば君が知らないあんな事
* * *
目が合ったから唇と唇が触れた、それが5秒前。
うっすらと開かれた唇に舌を差し込んだのが、今。
差し出された舌を軽く吸って睫が震えるのを堪能するのが3秒後。
唇が離れるのは…何分後?
5秒前
* * *
自覚症状はない。
ただの憧れだったのだ。
昔から大好きだった。
いつもハッピーエンドで終わる、お姫様の恋物語。
最後には必ず迎えに来て、幸せにするからと言ってキスをくれる素敵な王子様。
まさにそれを具現化した人が本当にいるなんて。
だからつい、目で追いかけてしまう。
私もそうなれるんじゃないか、彼がその王子様なんじゃないかって。
たぶん、自分でも気づいていた。
ただのミーハーだって。
はしゃいで、恋愛もどきを楽しんでいるだけだって。
けれど気づいてしまった。
彼の視線のその先に、私じゃない誰かがいることに。
一気に頭に血が上った。
一気に体から血の気が引いた。
そして自覚した。
自分の中に、こんなにも熱が渦巻いていたことに。
微熱
* * *
ふと思いついて、止まってみた。
あと1センチだけ動けば、互いの唇が触れ合う距離。
長い睫が伏せられて、時折小刻みに震える。
すぐに眉根が寄って、怪訝な表情になる。
ゆっくりと瞼が開き、青い瞳が露になる。
その色は、不思議そうなのと悲しいのと憤りと訝しげと戸惑いと驚きと、その他もろもろ。
すべてが絶妙にミックスされていて…最終的に泣きそうな顔になっていた。
意地悪してごめん。
「あ、…っ」
文句を言われる前にふさいでしまえ。
焦らし
* * *
あれ、と思って目を開けたら真っ暗だった。
今は昼間で、ソファでうたた寝をしていた、様な気がする。
だからまだ夜には遠いと思うのだけれど…と思いながら首をめぐらそうとしたら、聞きなれた低く優しい声が降ってきた。
「動かないで」
かすかに、ほんのかすかに感じた語尾の震え。
手を持ち上げてみれば、目元には確かに彼の手があって、視界をふさいでいた。
そんなことにも気づかないくらい寝ぼけていたらしい。
「ブライト…?」
「なんだい」
やはり、おかしい。
手はどかされないし、相変わらず震えている声を隠そうとしているのだろうけれど失敗している。
きっと優しい彼のことだから、心配をかけまいと思っているのだろう。
けれどそれでも耐え切れなくて、会いに来てくれたのだと思うと、たまらなく愛しいと思う。
だから。
手探りで彼の首筋に腕を伸ばし、抱きつくように擦り寄った。
すると素直に体を預けてくる、相変わらず目はふさがれたままだったけれど。
二人分の重みで、ソファがきし、と音を立てた。
「大好きだよ」
「…僕もだ」
目隠し
* * *
「…これは苦くないから」
「うそだ」
「本当に」
「ぜったいのまない」
真っ赤な顔で唇を尖らせて言っても、可愛いだけなのに。
と思いながらも、風邪をこじらせて熱があるせいで赤い顔をしている彼女が心配でならない。
お抱えの医師がとびきり良く効くとても苦い薬を出してくれているのを経験上知っているのだろう。
「飲まないと治らないよ?」
「そんなことないもんっ」
いい加減この押し問答を何分繰り返しているのだろうか。
さすがに飽きてきて、さっさと飲ませたくて、強硬手段に出ることにした。
「あっ!」
水と薬を一緒に口に含むと、視界の端に彼女の驚いた顔が見えた。
そのあんぐりと開いた口を、そのまま引き寄せ口づける。
「んっ…ぅ、ぁ…」
こくりと嚥下したのを確認して、ついでとばかりに舌を絡めて吸い上げる。
その熱さにこっちがやられそうだ。
「よく飲めました」
「ブライトの、ばかっ…!」
早く良くなってくれよ?
クスリ
* * *
いつも振り回されっぱなし
そもそもこっちが優位に立てたことなんてあっただろうか
形勢逆転
* * *
「絶対、先に死なないでください」
ひとりにしないでと必死に訴えてきた彼女の瞳に誓った。
大丈夫、全部、見届けるよ。
骨になるその時まで
* * *
「いますぐ、キスして」
って言うからしたのに。
「…ばかっ」
真っ赤な顔で怒るから。
じゃあどうすればよかった?
外で
* * *
周囲の視線を集める彼女の笑顔が、あまりにもあどけなくて、たまらなくて。
人気のないことを確認して、その腕をつかんだ。
「え、なに…?」
振り返ったその首筋に手を添えて、もう片方の手で腰に腕を回してその身を捉えた。
一方的に、貪るように、そのクチビルを奪う。
息継ぎすらさせたくない。
彼女のすべてを、自分で埋め尽くしたい。
無意識のうちに逃げ腰になるその体を、更に強く抱きこんだ。
「ふ、ぁン…っ」
口腔の奥まで舌でなぞって、戻りながら舌先を吸い上げる。
甘く痺れるようなその声も、誰にも聞かせたくない。
全部、自分のものだ。
衝動
* * *
だってほら、その腕がもう答えてる。
真っ赤な顔で、潤んだ瞳で。
一応拒絶のカタチを装っていても、ほら。
口角の隅に見える好奇心。
瞳の奥の隠せない情欲。
早く、堕ちておいで。
突っぱねた腕の弱さ
* * *
ちょっとだけ、朝が弱い自覚がある。
目が覚めてもすぐには動けなくて、ベットに腰掛けたままぼうっとすることが多い。
いざ起き上がって着替えても、はっと気がつくとボタンを掛け違えていたり、靴下が左右違うなんて事もあったりする。
「…とか見られると、恥ずかしいかな」
「それ、あたしいつも見られてるんですけど!?」
羞恥心
* * *
白い項が、月明かりに照らされている。
いつもは長い髪に隠されている真っ白なその肌が、露になっていた。
象牙のように、白い。
触れるのが少し、躊躇われるほどに。
さっきまでは自分の腕の中で愛らしく嬌声をあげていた、その彼女と同じ人物とは思えないほどにその寝顔は穏やかだった。
背徳
* * *
白いバラの花が一輪置かれていた。
いつの間に、と思って手に取るとそこには名刺のようなカードが置かれていた。
『あなたを、頂きに参ります』
白昼堂々
* * *
愛しい。壊したい。優しくしたい。愛されたい。
どこかに隠して独り占めしてしまいたい。
そのすべてが詰まった、蒼い瞳。
蠱惑
* * *
いろんなところにいろんな素敵お題があってトキメキます…!
今回お借りしたのはこちらです↓↓
微エロ妄想25題